リアリズムとロマン主義的美学思想―「リアリズムとシェリングの芸術哲学」
シェリングは、自然を神的なものと考え、自然の内に精神の意識的な働きを探る自然哲学を語ったが、それに続けて、精神の働きが自然の実在性の形で見えてくるものとして、芸術を挙げ、芸術哲学を論じる
『超越論的観念論の体系』(1800年) を書いた。
シェリングは、哲学は知的直観による洞察ゆえに、人間における知という一面を高めるに過ぎないが、「芸術は全体的人間そのものを高みへともたらす」 と考え、芸術に、哲学以上の機能を認めたのである。
人間は自然の一部であり、自然の循環のなかに組み込まれている。 「自然は目に見えるものとなった精神、精神は見えざる自然であるべきである」、「私たちの内なる精神と外なる自然の絶対的一致」、この
「自然のイデー」 が、シェリングの目指すところである。
「自然の模倣説」 というリアリズムと 「自然の理想化説」 というアイデアリズムの両者は相補的関係にあると シェリングは説いている。
所産的自然としての自然、万物を生み出す生命、生成変化し続ける現象的時間のうちに、真に充実した現実存在としての姿を現す。それは同時に 「真に完成された美」
の永遠の瞬間である。 「芸術とはそのような瞬間における本質を表現する」 シェリングの新たな解釈である。…「論文」
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