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 第 11 回 日展 「授賞作品」

日本画・洋画・彫刻・工芸美術・書
「授賞作品」

公益社団法人 日展
(令和 6 年 12/18~令和 7 年 1/18 京都展
京都市京セラ美術館) 開催。


第 11 回 日展 「授賞作品」
文部科学大臣賞・内閣総理大臣賞・東京都知事賞


文部科学大臣賞( 2 名)


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日本画《樹の一本は一つの木》能島浜江

文部科学大臣賞 日本画 《 樹の一本は一つの木 》
能島 浜江 会員
(神奈川)


 宮沢賢治の詩から取ったという不思議なタイトルを持った作品で、
直接的な絵解ではないがそこから想を得た、どこか謎めいてもいる若者の姿が描かれている。
作者の発想のユニークさと描写力の確かさが相まって、見る者に様々な連想を誘う、
チャーミングな世界である。



文部科学大臣賞 洋画 《 ECHO―裸婦と猫― 》
寺久保 文宣
 会員・審査員(埼玉)


裸婦を通して絵画とは何かを追求している作家で
今回は右上後方に猫を配してバランスをとった。
日本人の持っていない独特の感性で画面構成、
バックの青緑・青・ピンク・黄色の色彩の配色も実に美しく見ていて
どんどん想像が膨らみ絵の中の物語の世界に引込まれていく。
文部科学大臣賞にふさわしい作品である。

洋画《ECHO―裸婦と猫―》寺久保 文宣


内閣総理大臣賞( 3 名)


彫刻《風のおと―萌し―》上田 久利

内閣総理大臣賞 彫刻 《 風のおと―萌し― 》
上田 久利 会員
(岡山)


 台に腰をかけ両腕をやや後ろに回して座る裸婦像。
顔や胸、胴部など健康的な生命感にあふれる。
吹きつける時代の風を受けながらも希望をもって良い萌(きざし) をみつめる姿は豊満で力強い。
頭部から下肢にかけての姿態は長三角の形に構成され安定感を漂わせる。
石膏に金彩の着色も、たおやかな生命(いのち) の輝きを覚えさせて調和してる。



内閣総理大臣賞 工芸美術 [磁] 《 月の器・帰路 》
武腰 一憲 
会員・審査員(石川)


雲のかかった月を天板として人とロバと犬を照らして深い影が奥行を表現し、
彩やかな青色が人物たちを浮き立たせている。
板作りによる陶芸作品の器であるが、
絵画的表現を組み合わせて物語を展開して見る者に心の広がりを感じさせてくれる。
こうした手法は、この作者独自の世界観をみごとに表わすことに成功している。

書《花の姿》田中 徹夫


書《花の姿》田中 徹夫

内閣総理大臣賞 書 《 花の姿 》
田中 徹夫
 会員(兵庫)


 力強い漢字を駆使した仮名で、
真っ白な紙に艶やかな墨線が生き生きと潤渇も程よく配置されている。
行間を大きめにとることで、文字同士のぶつかり合いを吸収して、心地よい余白となっている。
時に緊張し、時に立ち止まるような緩急のある運筆の息づかいを感じさせるもので、
筆文字の良さが存分に発揮された書である。



東京都知事賞( 5 名)


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日本画《五月の風に》手塚 恒治

東京都知事賞 日本画 《 五月の風に 》
手塚 恒治 会員・審査員
(神奈川)


 初夏の眩しい陽射しに目が慣れるにつれ、海辺に腰かけた男性の姿が見えてくる。
遠景のヨットから机上のカップや観葉植物、貝がらなどへ、
抽象的な色面構成の中から少しずつ、現実の手ざわりが現れてくる。
パステルカラーのハーモニーは爽やかな五月の風を感じさせるが、
作者の画想はさらに深いところを指向しているようだ。



東京都知事賞 洋画 《 人生設計 》
田中 里奈
 会員・審査員(神奈川)


 今までの木版画のイメージと違い斬新でモダンな形と色彩が魅力的である。
力強い木版画の表現の中に自己と人間の関わりがあり、
目に見えない心象表現となっている。
若い人の作品が受賞したことは日展にとって心強い。

洋画《人生設計》田中 里奈


彫刻《時の流れに》青山 三郎

東京都知事賞 彫刻 《 時の流れに 》
青山 三郎
 会員・審査員(富山)


 静寂を湛えた木彫の女性立像である。
破綻のないノミ跡のリズミカルな連続性は “時の流れ” を示すかのような軽快な魅力を示している。
ここには直実と技法と女性が見事に調和して、
ギリシア・クラシック期の神像を思わせる木彫の姿である。
漱石の夢十夜とはまたちがう意味で、
木彫のもつ繊細な可能性を示している作品といえよう。



東京都知事賞 工芸美術 [陶] 《 黎 紅 》
叶 道夫
会員・審査員(京都)


果実にうつる朝の陽光のきらめきを切り取った作品。
繊細に、そして快い変化を見せる釉色には高度な技が潜んでいる。
鋭さを秘めたまろみのあるフォルムは、研ぎ澄まされた造形感覚の賜物である。
ふと気付くと、いつしか美の深淵に誘われ、
うつし世と幻想のあわいにただよう心持ちにさせる出色の作品である。

工芸美術《黎 紅》叶 道夫


書《袁凱詩》歳森 芳樹

東京都知事賞 書 《 袁凱詩 》
歳森 芳樹
 会員(東京)


 元末明初に活躍した袁凱の詩を、行草書で三行にまとめた一幅である。
冒頭の書き出しから落款に至るまで、流麗な筆致で書き進め、
「凍てついた音楽」と喩えられる書の特質を十二分に表出している。
各行の微妙な量感の差異が、全体的に立体感を醸し出し、
白と黒の対比が実に美しい、訴求力の大きな優品である。



・作品受賞理由の批評は日展評です。
(陳列点数、日本画 292点、洋画 659点、彫刻 198点、工芸美術 576点、書 1,257点 合計 2,982点)



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