第 ９ 回 日展 「授賞作品」

日本画・洋画・彫刻・工芸美術・書　
「日展特選授賞作品」
公益社団法人 日展

第 ９ 回 日展
日展特選賞

第９回 日展「特選賞の授賞作品」'2022
第1科（日本画）、第2科（洋画）、第3科（彫刻）、第4科（工芸美術）、第5科（書） の各科から選抜2名の作品を掲載しています。
・画像をクリックすると大きな画像でご覧いただけます。

第１科（日本画）　特選受賞者 10 名（内 2 名作品掲載）

・石崎誠和・田中達也・今村市良・林 真・鵜飼義丈・潘 星道・大西健太・福本百恵・城野奈英子・吉川咲江

日展特選賞　日本画　《 白い時代 》
大西 健太

　 画面の上方に子供を配し動きのある構成で、
丁寧に描きこんだ、
若い人らしい独自の感性豊かな世界を描いた秀作です。

第2科（洋画）　特選受賞者 10 名（内 2 名作品掲載）

・飯塚康弘・永谷光隆・住井ますみ・中西 敦・関野智子・橋本弘幸・高田啓介・樋口文子・竹内 恵・吉成浩昭

日展特選賞　洋画　《 命 脈 》
永谷 光隆

　麻袋とジャガイモを配し、画面の中に的確に質感を追求。
過ぎゆくものに対する深い哀愁が画面の中で展開され、
確実に流れていく時間の重みを伝え、
静寂な中に深い精神的な空間が表現された作品となっている。

日展特選賞　洋画　《 天下晴れて 》
吉成 浩昭

　卓越した色彩感覚と優れたデッサン力、洗練された表現力の持ち主である。
　大らかな筆致で日常の美しい瞬間を見事に切り取った佳作である。
　次代の日展を担う、若い世代のホープとしての役割を期待している。

第3科（彫刻）　特選受賞者 7 名（内 2 名作品掲載）

・池端英次・田中宏典・岩谷誠久・永江智尚・酒井 華・宮地淑江・志萱州朗

・画像をクリックすると大きな画像でご覧いただけます。

日展特選賞　彫刻　《 ウクライナ 今 私にできることは 》
池端 英次

　悲しげな眼差しの少女と、心なしか足を伸ばすように遠くを見つめる犬。
少女が挙げた手が二体の空間を絶妙につなげるよう構成されている。
社会情勢をモチーフに堅実な彫刻表現で作者の内面が現れた力作である。

日展特選賞　彫刻　《 夢見る人 》
宮地 淑江

　シンプルな立ち姿からは、夢を見ているような情景が伝わってくる。
　やや下向きながら、強い目線からしっかりとした意思も感じられ、
石膏の素材感を生かした柔らかな色で見事に仕上げた秀作である。

日展特選賞　工芸美術 [陶]　《 砂海の風 》
喜多 浩介

　　地球の渇きが風をも化石化させる憂いを優しく表現した本作。
有機的な形を覆う貫入状の亀裂は、
膨張するかのように設置空間全体を支配する存在感がある。
一方で幻惑するようなエロティシズムも兼ね備える非凡さもある。

日展特選賞　工芸美術 [陶]　《 愛燦燦 》
高森 絢子

　手びねり成形の張りのある器体を化粧土、象嵌で加飾し、
部分的に上絵付けする丁寧な仕事である。
　その控え目で美しい有り様が作家の持ち味と思うが、
一方で独得のコナシやキレがあり、現代の感覚にも通じている。

日展特選賞　書　《 屈大均詩句 》
北山 転石

　明末清初期の屈大均の詩句を古代文字で揮毫した作品である。
古代文字特有の造形の妙を活かし、
深みのある勁い運筆で一気呵成に書いている。
余白も美しく、金石の気あふれる力作である。

日展特選賞　書　《 藤 浪 》
西田 健

　仮名の美の三大要素、連綿・余白・墨色の美を
大字仮名の世界にも遺憾なく発揮させた秀作。
加えて行の揺らぎ、粗密繁簡の妙、
立体感など、徹底した刻意を基としながらも、
計算を超えた自然な筆致が見る者を魅了する。

・作品受賞理由の批評は日展評です。
(陳列総点数 2,980点)

ご意見ご感想はyashio@mui.biglobe.ne.jp

Copyright © 2002-2022 Yashio.ALL Rights Reserved.