日展会員賞　日本画　《おいて》
諸星 美喜　会員・50歳

　落ち着きのある制作態度は本人が絵に向かう度量の問題と思うが、
強く逞しくしっかりと作品に向かう姿勢は魅力的である。
画面全体に広がる構図も気持ちが良い。
美しい色彩も安定しており、見事で秀作であった。

日展会員賞　彫刻　《ささやかな一日の終わりに》
中原 篤徳　会員・審査員・48歳

　緩やかな姿態の流れの中に一日を終えた女性の微睡みの一瞬を見事な力量で捉えた作品。
人体と着衣の関係も各々の異なる質感を充分に表現しており、
さらに腰かけた人体のムーヴメントも自然かつバランスの良いものがあり、
具象彫刻の理念を体現した作品と言えよう。

日展会員賞　工芸美術 [漆]　《風と光と水と》
村田 好謙　会員・63歳

不定形の作品は、ただ単に平面的なものではなく、
波うつような流動性も備えた力作である。
その技法も多彩であり、
蒔絵、螺鈿、箔押しを駆使した完成度の高いものであり、
工芸の魅力を余すことなく伝えている。

日展会員賞　書　《ほのやみ》
田中 徹夫　会員・67歳

　和歌一首を大字で散らした作品で、行間の処理と渇筆が美しい。
また、最終行に続けた落款の収め方や全体のバランスが見事。