日展会員賞　日本画　《おばあちゃん》
水野 收　会員・66歳（京都府出身）

　インドの普通に見られる生活光景を 「おばあちゃん」 の姿を主にして淡い色調で情緒的に表現した作であり、空間の取り方もうまく 「おばあちゃん」 の性格までもそこには想い浮かべられ、優品である。

日展会員賞　洋画　《クアトロ》
北本 雅己　会員・59歳（島根県出身）

　今回の氏の作品は今迄長年取り組んでこられた人物像の中では近年にない佳作である。 四人の人物を組合せ、色彩的にも構成的にも新しい感覚で今後共大いに期待できる。

日展会員賞　彫刻　《花が… （V）》
西村 祐一　会員・69歳（東京都出身）

　翻る天衣のような衣文の表現、観音像を思い浮かべるような女性像の、理想的な人体美が特徴である。 技法は的確なモデリングにより、堅実な肉付けによる潑剌とした気分が漂っている。

日展会員賞　工芸美術（漆）　《籃胎乾漆　記憶の渚》
長尾 保　会員・83歳（富山県出身）

　たまごを思わせるような実験的な形態の中に、魚たちが配されている。 向い合う大小の魚からは快いリズムが生まれ、画面に生命の躍動感を与えている。 白を主にまとめ上げられた作品は、白色によせる作者の精神性でもあろう。
　日展を舞台に活躍する尾長氏は長老ではあるが、漆の技を知りつくし常に新しいものを作り出そうとする姿勢に敬意を表したい。

日展会員賞　書　《春日の山》
吉川 美恵子　会員・審査員・67歳（奈良県出身）

　色の濃い独特の料紙に負けない筆線と構成で、全体の調和がとれ、美しく仕上がっている。 古典の仮名作品とは異なり、現代的な感覚の筆運びが見事で作者独自の世界がある。